忍者ブログ

510のごった煮

あくがれの みんなみの国に集いにし みとせの夢短しとー。 南国から有象無象(時々弓トーク)をお届けするよ☆

2024/05    04« 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  »06
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



こんにちは510です。今回は先日のM3学生の実習であまりにも多く聞かれた「何をレポートに書いていいかわかりません!」という非常に残念な質問に答えてみようと思います。

一言でレポートと言いますが、病理のレポートにも色々種類があります。が、まぁだいたいどれでも共通するコツ。

1.まず最初に、弱拡大のルーペ像をスケッチする。
弱拡大って顕微鏡の何倍ですか?と思ったそこのヒト、最弱拡大でいいんです。そう、それは肉眼。
レポート用紙の上に、スライドを「上下逆に」おいて(顕微鏡で見ると上下は逆さまになりますからね)、見えるママ絵をかきます。(図の①のところ) 右下に「x1」とか書いておくといいですね。他のスケッチの所でも、倍率は書いておいたほうがいいです。

ここまでは、どんなに所見がわからなくても、診断がわからなくても、絶対出来ます。スライドが有りさえすれば。なかったら隣の人に借りてください。
絵がかけたら、所見とりです。ここからは腫瘍と非腫瘍でちょっと違う所が出てきます。

2.弱拡大の所見を文章で書く

もしバーチャルスライドで肉眼の写真があれば、その所見もここで書いてください。どんな事をかけばいいのかというと、
<腫瘍の場合>
・肉眼形態(隆起性、陥凹性、結節性、肉眼的にどこに病変があるのかわからない、など)
・大きさ(スライドに定規を当てて、だいたいのmmでいいので測れたら測ります。標本内に入りきってない場合は省略可)
・境界の性状(明瞭か、不明瞭か、膨張性か、浸潤性か、被膜の有無など)
・写真があれば肉眼の色(赤褐色、灰白色、黄色、出血を伴っているなど)

<腫瘍じゃない(炎症や変性)場合>
・病変の形態(隆起性、陥凹性、結節性、肉眼的にどこに病変があるのかわからない、など)
・病変の大きさ(測れたら測ります)
・写真があれば肉眼の色(赤褐色、灰白色、黄色、出血を伴っているなど)

こんな感じの事を、図の「A」のところらへんに書きます。ちなみに↑の腫瘍の項目の中に、良性を示唆する所見と悪性を示唆する所見をおりまぜてあります。それぞれテストに出るかもしれないので勉強しておくように。

ここまでが弱拡大でのレポートです。次は中拡大。

3.中拡大のスケッチして所見を書く
中拡大、というのは、細胞がどんな構造を形成しているかが見える拡大です。具体的には40倍くらいかな。
「管状構造」「乳頭状構造」「充実性胞巢」「線維化」「血管が豊富」「壊死」「炎症細胞浸潤」「嚢胞形成」などなど。

細胞があつまってどんな構造を作っているか、をスケッチ(図の②のとこ)して所見を書きます(図のBのとこ)。

どんな言葉を使えばいいのかは、アトラスにだいたい載ってます。さっぱりわからん!という時にはこのへんで先生か出来る同級生にヘルプを出します。ここで方向性を間違えると、結構書きなおすのが大変です。

また、腫瘍の場合は良性か悪性かで所見のキーワードが違ってきますので、その辺も気をつけてください。

4.強拡大で細胞がどんな形をしているか、スケッチして所見を書く
強拡大、というのは細胞一つ一つの形がはっきり分かる拡大です。具体的には400倍とか。
ここで見るのは細胞一つ一つがどんなもんか、ということです。中拡大では紫のつぶつぶにしか見えなかった炎症細胞が、急性炎症細胞なのか、慢性炎症細胞なのか、とか。
ここでの所見の書き方のコツは、核と細胞質の所見をそれぞれ書くことです。特に腫瘍の場合は大事。

<核の所見>
・形は:円型、長円型、紡錘形など
・中身は:核小体が目立つ(明瞭な核小体を有する)、クロマチン濃染性(紫でベタッと濃く染まる事をこう言います)、粗なクロマチンを有する(恐竜の卵みたいにつぶつぶが見える)など
・大きさは:均一か、大小不同があるか、大型か、小型か、など
・核分裂像があるかないか

<細胞質の所見>
・色は:好酸性(ピンクって言うのを格好良く言うとこう言うんだぜ)、好塩基性(紫っていうのを以下略)、淡明など
・量は:豊富、乏しいなど
・細胞全体の形は:紡錘形、円柱状、立法状など

5.診断を書く
実は実際の診療では、病理診断は施設によって書き方が決まっています。
第二病理では「臓器:組織診断, 部位, 切除方法」の順に記載します。部位と切除方法は臨床の先生が教えてくれる事なので、学生実習のレポートでは必要ありません。
レポートでは「臓器と診断」が必要です。「肺:腺癌」「皮膚:扁平上皮癌」「胃:胃潰瘍」「動脈:動脈硬化」などですね。そこに(中分化型)とか(UL-IV)とか付け加えれば完璧です。

6.その他
標本内に正常な部分が入っている場合は、そこについても一言あるといいですね。
胃潰瘍であれば、非潰瘍部の正常な層構造について記載したり。みんな漿膜下層忘れスギ。

もちろんここに書いたことが全てではないです。


それぞれの症例について、先生の解説をよく聞いて、キーワードをもれなく記入したレポートが作れれば、B評価以上はもらったも同然。

あと↑の絵は白黒ですが、レポートの絵は色鉛筆で描こうぜ。電顕じゃないんだから()
それとどんなに絵が上手でも、所見が一文字もなかったら評価は低いです。だってそのレポートじゃ、「見えてる」ってだけで「読めてる」かどうかは分かんないから。

絵がヘタでも、所見(文字)を一生懸命綺麗な字で書いて、キーワードが揃ってればいいんです!

私はお絵かきが好きな病理医ですが、病理医が皆お絵かきが好きとは誰も言ってません。
だって実際の診療では、絵なんか描かなくたって、写真とればいいじゃない!
というわけで、帰ってきたレポートがCとかでしょぼーん(´・ω・`)てなったヒトは、「絵がヘタだから」Cなのではなくて、「所見がとれてないから」Cなんだってさ。


・・・ふぅ。久しぶりにいっぱい真面目な事書いたら疲れたんだぜ。

これからの実習の一助になれば幸い。
PR
お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
管理人のみ閲覧

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新コメント

(09/25)
(06/25)
(06/01)
(05/20)
(05/17)

プロフィール

HN:
510
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

カウンター

<< Back  | HOME Next >>
Copyright ©  -- 510のごった煮 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by もずねこ / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]